ADPKD 事典

カ行

肝のう胞

肝のう胞

ADPKDの場合、腎臓以外にものう胞(液体の入った「袋」状のもの)ができることがあります。腎臓に次いでのう胞ができやすいのが肝臓です。のう胞により肝臓の機能が悪くなることは少ないです。ただし、のう胞の感染、出血で腹部や背部の痛みを起こしたり、肝臓が大きくなることで腹部膨満などを起こすことがあります。

大きくなった肝臓が周囲を圧迫することにより、強い腹部膨満、頻呼吸、吐き気、栄養障害など日常生活に大きな影響を及ぼす場合は、外科的治療や肝動脈塞栓療法(そくせんりょうほう)が行われることがあります。

くも膜下出血

頭の中で脳を保護する膜は、外側から順番に「硬膜(こうまく)」「くも膜」「軟膜(なんまく)」という3つの層になっています。
「くも膜下(まくか)」、すなわち、「くも膜」と脳の間には、脳に栄養を供給する血管が張り巡らされています。その血管の一部が切れて、「くも膜下」に出血がある状態です。発症すると、「今まで経験したことがない、強い頭痛」を感じます。緊急で治療をする必要があるのは言うまでもありません。直後の「再出血」、また脳血管が細くなる「攣縮(れんしゅく)」が起こると後遺症や生命のリスクが高まります。

原因のほとんどは、脳の動脈にできるコブ状の「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」の破裂によるものです。ADPKDの場合、脳動脈瘤を持っている率、また、それが破裂する率が、一般の方に比べて高いことがわかっています。「脳動脈瘤」があっても、破裂を予防するための処置がとれる場合もあります。頭部MRアンジオグラフィ(MRA)などで定期的に検査することが重要です。

くも膜下出血

血清クレアチニン値

腎臓が血液を濾過して老廃物を排出する能力をチェックするための指標です。

クレアチニンは筋肉でつくられる老廃物です。血液を介して腎臓から尿に排泄されます。腎臓の機能が低下してくると、クレアチニンを体外に排出することができなくなり、クレアチニンが血液中に溜まってしまいます。そのため、血液中のクレアチニンの量から腎臓の機能を推測することができます。血清クレアチニン値が高くなるということは、腎機能が低下していることを意味します。

基準値(参考)
男性 0.6~1.0mg/dL、女性 0.5~0.8mg/dL
血清クレアチニン値

血尿

腎臓、膀胱、尿道に病気があると尿に血が混ざることがあります。排尿のときに自分で気がつく血尿だけでなく、出血が微量のため、肉眼では気づかないが、尿検査紙にて判明する血尿もあります。

ADPKDにおいては、もともと血流が豊かであるのう胞の血管が切れることにより、尿に血液が入ることが原因です。頻度の高い症状です。

飲水の励行や安静により消失することが多いです。ときに腎動脈塞栓術(じんどうみゃくそくせんじゅつ)や外科的手術などが必要になる場合があります。

血尿

高血圧

ADPKDでは、高血圧が高率で合併します。また、腎臓の機能が悪くなる前から高血圧を発症することも少なくありません。

高血圧は腎機能や心血管系合併症とも関係が深いので、しっかり血圧管理をする必要があります。通常は慢性腎臓病(CKD)の治療に準じて140/90mmHg未満にコントロールすることが目標とされています。

まずは減塩が必要です。塩分摂取量6g/日を目標としましょう。それでも目標値に達しない場合は降圧薬を飲む必要があります。

高血圧

出典:日本高血圧学会・高血圧治療ガイドライン2009