多発性嚢胞腎とは

3.(1) 合併症でどのようなことがおこるか
次に腎臓に嚢胞がいっぱいできると、合併症としてどのようなことが起こるか考えてみよう。
例えば多発性嚢胞腎で遺伝子に異常があって、それを引き継ぐと、腎臓に嚢胞ができる。
この腎臓の嚢胞は人によって、早くからできる人と、そうでない人がいるが、100%必ずできる。
合併症としては、嚢胞が破れて嚢胞内に出血をみたり、あるいは血尿をみることがある。
また細菌がつきやすいのでしばしば感染を起こしやすくなる。
もちろん、嚢胞ができると普通の人よりも腎臓は大きくなったり、結石ができることも多くなる。
とくに注意しなければならないのは高血圧の頻度が非常に高くなることである。
多発性嚢胞腎の病態を患者の年齢と照らし合わしてみてみると、
歳をとるにしたがって嚢胞はどんどん増え、若くても血圧が高いのが特徴である。
これは、少し難しい話になるが、多発性嚢胞腎で腎機能が低下すると、
レニンがよけいに分泌されて、アンギオテンシンが増えるために高血圧になりやすく、
また、腎結石ができやすいのはクエン酸の排泄が悪くなるからと云われている。
しかし普通の慢性糸球体腎炎に比べ貧血が軽いのも特徴である。
これは多発性嚢胞腎によって腎臓におけるエリスロポエチンの産生が減るものの、
比較的長く分泌されるからである。
多発性嚢胞腎における腎合併症
・腎嚢胞 100%
−嚢胞内出血 50%
−嚢胞感染 ときに
・腎腫大 100%
・腎結石 20%
・高血圧 腎不全の80%以上
ところで、多発性嚢胞腎の患者にはどういう悩みがあるかを調べてみた。
一番気になるのは、今後、腎臓の働きが悪くなっていくのではないかということ、
次いで多発性嚢胞腎が遺伝性疾患であることによる社会生活上の制約、
子供への遺伝であった。
多 発 性 嚢 胞 腎 患 者 の 悩 み
(病気を指摘されて気になったこと)
1.腎機能の悪化
2.社会生活上の制約
(進学、就職、結婚、出産、患者および親族との関係)
3.子どもへの遺伝
腎臓の働きが悪くなり、透析に入る患者の平均年齢は50歳代の後半である。
しかし、早い人では30歳代、もっと早くから透析に入る人もいるし、
80歳ぐらいまで入らない人もいて透析にはいるのは全体の半分くらいである。
同じ家系であっても透析が必要となる年齢は、ずいぶん異なる。
例えばお父さんはほとんど90歳近くで透析に入ったのに、
そのお子さんはずっと若い45歳でという家系もあれば、
ほとんど同じ年齢でという家系もある。
同じ家系、同じ遺伝であっても、実際に腎臓の働きがなくなってしまうまでには、
かなり個人差があるのも特徴である。
社会生活でいうとだいたい結婚するまでは、普通の人とほとんど変わりがなく、
ただ血圧が少し高いかなというぐらいが一般的である。
しかし、30歳代、40歳代になると、少し血尿が出るとか背中や脇腹が痛いとか、
あるいは何かのついでに超音波やCT検査を受け、嚢胞が見つかると言ったぐあいである。