多発性嚢胞腎とは
3.(2) 腎臓の働きを示す指標

腎臓の働きを示す指標として、普通は血清クレアチニン値をみる。
腎機能が低下すると血清クレアチニン値の上昇として現れる。
血清クレアチニン値は正常な人で大体1mg/dl以下であるが、
1.5mg/dlになると腎臓の働きが落ちはじめているといえる。
さらにこれが2mg/dl、3mg/dl、4mg/dl、5mg/dlと上がるに従って
腎臓の働きがさらに落ちてきていることを示す。
そして個人差はあるが、透析が必要となる目安は8mg/dlぐらいである。
8mg/dl以上になると腎臓の働きは正常の10分の1あるいは20分の1しか残っておらず そうなるとどうしても透析が必要である。
言いかえれば、正常な腎臓の10分の9から20分の19の働きが駄目になると、
透析が必要ということである。

それではどうして腎臓の機能がなくなるのか。
それは嚢胞の数が増えるにしたがって、その嚢胞によってネフロンがだんだん圧迫されたり、 細胞死でネフロンが消えてなくなってしまうから、あるいは間質に線維化が起こるからとか、 高血圧が関係してなどといわれている。
また人によって、腎機能が早く悪くなる人と、そうでない人があるが、
腎機能が低下しやすい条件については、ある程度わかっている。
比較的若いときに診断された人、高血圧をそのまま放っておいた人、
女性より男性で少し進行が早く、透析にも少し早く入る。
またたんぱく尿が多いとか、血尿がある人、尿路感染・膀胱炎・腎盂炎を起こしやいす人、 妊娠とか分娩回数の多い人、腎臓が非常に大きい人も腎機能が低下しやすいといわれている。
一方遺伝子に異常があるPKD1とPKD2を比べるとPKD1という一般に多くみられる方の遺伝子異常を 持つ人で腎機能低下が早く、頻度の少ないPKD2では進行が遅い。


      腎機能が低下しやすい状況

        ・高血圧のある人

        ・女性より男性で進行が早く、透析導入の年齢が若い

        ・30歳以前で診断された人

        ・たんぱく尿が多い人、血尿のある人

        ・妊娠回数の多い人

        ・PKD2よりPKD1に異常のある家系の人


それではどうしたら腎不全の進行を遅らせて、透析に入るのを防いだり、
遅らせたりできるのか。これは非常に重要な問題である。
薬で嚢胞が治ったり、消えてしまえばよいが、残念ながら現在までそういう薬はない。
そこで、一番大事なのは血圧をコントロールするということである。
それには食事の塩分を制限すること、腎臓の働きに応じた低たんぱく食を摂ること、 感染が起こったらすぐに治療をすることである。
また定期的に受診して、今どういう状態にあるのかをいつも診てもらって気をつけること、 ライフスタイルを適正なものにすること、さらに適当な運動をすることも必要である。