多発性嚢胞腎とは

3.(5) 多発性嚢胞腎による症状
多発性嚢胞腎によってどのような症状が出るかというと、
まず腰痛、側腹部痛、腹痛などの痛み、嚢胞に感染が起こっての発熱、
血尿が主なものである。
しかし腎臓の働きが非常に悪くなると、慢性糸球体腎炎と同じように腎不全の
症状が出てくることがある。
痛みについては、嚢胞で腎臓が大きくなると、腎臓を覆っている被膜が引きのばされたり、
血管が腎臓へ入ってくるところが引っ張られたりして、痛みが生じるといわれている。
痛みは、鎮痛薬だけでおさまることが多いが、痛みがひどくて社会生活ができないときは、
嚢胞をつぶして癒着させたり、あるいは、最近では内視鏡下で腎臓の嚢胞の一部を切り取ったり、
腎動脈を詰めてしまうという方法も取られている。
また20%の人に腎結石・尿管結石の合併がみられ、このために痛みや血尿が出ることもある。
結石は普通の人よりも尿酸結石が多く、直径が9mm以下であれば多くの場合自然に排出される。
しかしそれ以上の大きさになると自然に排出されないので、
結石破砕法で石を砕いて出すこともある。
症 状
1. 嚢胞腎自体による症状
@ 痛み
A 嚢胞感染、発熱
B 血尿
Cその他(高血圧、腹痛、腹部膨満、むくみ、腹水)
2. 腎不全の症状
尿路感染症も20%の人に起こる。
しかし生涯を通して見ると、50〜75%とほとんどの人が尿路感染を経験する。
とくに女性に多くみられる。普通は膀胱炎から腎盂腎炎となり、
高い熱を出すことが多いが、それ以外に嚢胞に細菌がつき、
敗血症になって高い熱をだす場合がある。
後者の場合治療が非常に難しく、なかなか熱が下がらなくなる。
これは無数にある嚢胞のどの嚢胞に感染が起こっているか、診断が非常に難しいからである。
CTスキャンやガリウムスキャン、インジウム(indium)スキャンのような特殊な検査で、
どの嚢胞に感染が起こっているか診断できることもある。
もちろん、どのような細菌に感染したかを調べ、その菌に有効な抗生物質を使うが、
とくに嚢胞に感染を起こした場合は、普通の抗生物質では効かなくシプロキサンという
薬が効くことがある。
われわれが経験した症例で、ある病院で治療を受け3週間ほど熱が下がらず、
我々のところでシプロキサンを使ったら、すぐに熱が下がったということがあった。
どうしても普通の抗生物質が効かないときには、薬を変えることも必要である。
ところで、尿路感染の症状は尿の回数が多い、尿が濁る、痛みがある、熱が出るなどである。
原因としては急性腎盂腎炎が多く、中には先に述べた嚢胞の感染の場合もある。
また肉眼的血尿は、半分ぐらいの人が経験していると思われる。
嚢胞内に出血しただけなら血尿が出ないこともあるが、
出血した嚢胞が腎盂とつながっていると血尿になる。
血尿が出た場合、普通は2〜3日間安静にして、水分を多く取っているとおさまる場合が多い。
しかし、人によっては非常に長く続いたり、輸血が必要となり、
腎動脈を詰める治療をすることがある。
またどうしても血尿が止まらないときは腎臓を取り出すこともあるが、
これは極力やらないようにしている。原因としては嚢胞の破裂によるものが多く、
ときには結石のこともある。