多発性嚢胞腎とは
5.どのように対応すべきか

多発性嚢胞腎と診断さたらどうするか。
まず、腎臓に嚢胞がどの程度あるのか、すなわち、非常に初期の段階でポツポツと
ある状態なのか、非常に増えて腎臓が大きくなり、お腹全体を占めている状態なのかを調べてもらう。
また、肝臓にも嚢胞があるのかないのか、それから、 腎臓に嚢胞ができる病気はこれだけではないので、 ほかの嚢胞性腎疾患の可能性はないかを診てもらう。
前述のように単純性腎嚢胞であれば何も心配ないわけであるから、
そのことをまずはっきりさせる。
それには、できれば詳細に、家族歴、腎臓が悪かった人や透析を受けた人
あるいはクモ膜下出血で亡くなった人がいないか、調べた方がよい。

次に高血圧があるかないか、腎機能が正常かどうかを調べてもらう。
この場合1日の尿を袋に溜める。
例えば前日の朝7時から次の日の朝7時まで、尿を全部溜める。
先程、血清クレアチニンについて述べたが、 そのクレアチニンがどれだけ尿の中に出ているかということから、腎臓の働き具合をみる。
例えば正常な人を100%とした場合、今、あなたの腎臓の働きはどれくらいか。
半分なのか、10分の1なのかなどがわかる。
また24時間尿を溜めると、一日に塩分やたんぱく質をどれぐらい取っているかがわかる。
自分では、きちんと塩分制限をしているつもりでも、 意外と普通の人の倍ほど塩分を取っていたという人もいる。
たんぱく質制限が必要と言われた場合も、きちんとたんぱく質制限を守っているかどうか がわかるので、尿をためて調べることが非常に大事である。
尿の検査ではその他にも尿たんぱく、血尿があるかどうかも調べる。


      多発性嚢胞腎と診断されたときどうすればよいか

      1.画像診断で、嚢胞が腎臓にどの程度あるか、肝臓その他には
        ないのか、家族歴はあるか、他の嚢胞性腎疾患ではないか。

      2.家族歴が調べられれば詳細に。

      3.高血圧はあるか、腎機能は正常か、尿たんぱく・血尿はあるか。

      4.高血圧、脳出血の家族歴があれば、MRAの検査を行なう。

      5.定期的受診・必要なら高血圧の治療

      6.精神的サポートを受ける:ショック、不安、怒り、罪悪感、
        落ち込み、受容、前向き


そして、これらの検査結果から患者が多発性嚢胞腎と診断されると、 最初は非常にショックを受け、大きな不安と憤りを感じると同時に子どもや 親せきに対して罪悪感を持ち、非常に落ち込むことがよくある。
この場合、時間はかかるが、病気の本態を正しく理解することで、 それを受け入れて前向きにこの病気と闘っていこうという状態にもっていくことが大切である。
それには主治医とか、遺伝病が専門の先生方のコンサルテーションを受けることも必要になる。

それでは実際の生活はどうしたらいいかというと、昨今、生活習慣病が言われ、
健康な人でもそれなりに食事や体重に気をつけ、運動するよう心がけている。
もちろん多発性嚢胞腎でも同じことが求められる。



      まとめ:どのような生活をすればよいか

      ○ライフスタイル
       ・食生活 − 塩分の制限、必要によってはたんぱく質の制限
       ・運 動 − 疲れが残らない程度
       ・体重のコントロール

      ○定期的受診
       ・専門医を捜す
       ・高血圧の治療 −腎機能の低下を防ぐために、また
                 心血管合併症や脳血管障害を減らすために

      ○多発性嚢胞腎とうまくつきあっていく
       ・早く発見しても治るわけではないが
       ・仲良く共存


また即座に嚢胞の増大を止められるというものではないが、
必要に応じて塩分を1日7〜8g(人によって違うが)に制限したり、
たんぱく質を制限することが腎機能を保つうえで必要と思われる。
それから、太りすぎの人は大豆や野菜をたくさん取って体重に気をつけなければいけない。
それには運動だけでも体重と血圧をある程度コントロールすることができるで、
歩数計をつけて、1日8,000〜9,000歩歩くことを勧める。

一方、多発性嚢胞腎を管理する方法としてはやはりかかりつけの医者を決めて、
定期的に受診し管理してもらうこと、とくに高血圧の治療をしてもらうことが非常に大切である。
この病気は早く見つけても治るわけではないが、どういう病気かということをよく理解して、 病気と共存することが大事である。
病気の進行を何とかくい止める手だてがないのかと思われるかもしれないが、
現在のところ、動物実験で嚢胞の発生や増大を抑え、
腎機能低下を遅くすることができるようになったという段階にすぎず、
ヒトに使った場合、本当に嚢胞の発生および増大を抑えることができるかどうか
まだはっきりしていないと言わざるをえない。
しかし、将来はいろいろな治療法を組み合わせるなどして、 効果のある治療法が編み出されることと確信している。


      ま と め 2

      ○多発性嚢胞腎をおそれ、無視することが一番悪い。

      ○正しい知識を持ち、定期的受診をすることによって、
       高血圧や感染の治療ができるので、多発性嚢胞腎の進行を
       遅らせることができる。


最後に、半分ぐらいの人は透析をしなくてもいいので、多発性嚢胞腎という病気を恐れずに、 この病気についての正しい知識を持って、定期的に医者に診てもらうこと、
とくに血圧の高い人は十分に適正な治療を受け、 目標の血圧を維持できるように努力すること、 こうした日常の努力で進行をある程度抑えることができるのではないかと思われる。