疾患について
- ADPKDとどのような心構えでつきあっていけばよいでしょうか?
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ADPKDは指定難病の一つですが、死に直結する病気ではありません。主に腎臓がターゲットとなりますが、その進行も人それぞれで異なります。ADPKDという病気について正しい知識を持ち、ご自身の状態を主治医とともに把握し、それを受け止め、じっくりとつきあうことが大事だと思います。
- ADPKDの進み具合はどうやって知ることができますか?
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ADPKDの重症度や進行度は腎臓の機能(血清クレアチニン値や推算糸球体濾過量(eGFR))で評価します。ただ腎機能が正常である初期の段階では腎臓の大きさが指標になります。そのため、画像検査でのう胞の数や大きさ、腎臓自体の大きさなどを確認して、前回の検査時と比べることで進み具合をみていきます。
- 親がADPKDでした。私も同じ経過をたどるのでしょうか?
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ADPKDは50%の確率で遺伝することがわかっています。ADPKDが遺伝していたとしても、同じ家族内で症状が出現する年齢、合併症、透析になる年齢はさまざまであり、必ずしも親と同じ経過をたどるとは限りません。
- ADPKDの脳動脈瘤の特徴は?
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ADPKD患者さんの脳動脈瘤の頻度は一般と比べて高く、家族歴がある場合で約16%、ない場合でも約6%といわれています。脳動脈瘤の破裂の頻度も一般の5倍と高く、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血(脳の表面を覆うくも膜の下の出血)の発症年齢も平均41歳で、一般の51歳と比べて早期に発症します。また、小さい動脈瘤でも破裂しやすいというのも特徴の一つです。
- ADPKDでも妊娠・出産は可能ですか?
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ADPKD患者さんは、20~30歳代では血圧、腎機能、肝機能が正常であることが多く、男女ともに妊娠・出産は問題ないと考えられます。ただし、腹部膨満、腎障害、妊娠高血圧症候群(妊娠20週以降、分娩後12週までの高血圧)に対応が必要な場合もあります。
- ADPKDの診断後に行われる検査には、どのようなものがありますか?
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ADPKDと診断された後は、血液検査と腎画像検査(超音波・CT・MRI)による経過観察が行われます。血液検査では主に腎機能、腎画像検査ではADPKDの重症度や進行度の評価が行われ、そのときの病状に応じた治療法が検討されます。
- ADPKDと診断されましたが、どのくらいの間隔で受診をすればよいのでしょうか?
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一般的に1~2年に1回は腎画像検査を受けるべきといわれていますが、必要な頻度は個々の年齢や進行度によって異なります。受診頻度については、きちんと検査を受けて自身の病状を理解した上で、主治医と相談しましょう。
なお、脳動脈瘤はADPKDに高頻度に合併するため、3~5年に1回はMRA検査を受けることが望まれます。
- 肝のう胞が多いのですが、どのような治療がありますか?
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現在までに肝のう胞に対する根本的な治療法は見つかっていません。腹部膨満、胃腸障害などの症状が強い場合には大きくなったのう胞を縮小させる治療として、肝動脈塞栓療法(肝TAE)やドレナージ術(のう胞穿刺吸引)、開窓術・部分切除術、肝移植などが行われます。治療を希望する場合には、主治医に相談しましょう。
- ADPKDの遺伝子診断は可能ですか?
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ADPKDの遺伝子診断は技術的には可能ですが、原因遺伝子であるPKD1、PKD2の遺伝子検査は費用や時間がかかるため、一般的には行われていません。現在、日本ではごく一部の施設しか遺伝子診断を行っていません。詳しくはADPKDの専門医に相談しましょう。
生活について
- ADPKDと診断されたら安静にしていなければならないのでしょうか?
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腹部に衝撃があるようなスポーツ(ラグビー・格闘技など)を除けば、今まで通りの生活を送られて問題ありません。運動不足によりメタボリックシンドロームになるのはADPKD患者さんにとってよくないため、無理のない程度の運動を心がけましょう。
- 仕事に影響はないでしょうか?
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CKDステージが進行した段階では過労を避けて十分に休養を取る必要があり、透析治療を行う場合には体調の問題や時間的な制限が生じますが、それ以外では仕事をしても問題なく、特別な制限もありません。腹部に衝撃が加わるような動作はのう胞出血を生じる恐れがあるので注意が必要ですが、それほど慎重になりすぎる必要はないでしょう。
就労の有無にかかわらず、普段通りの生活の中で心身ともに体調管理を行うことが大切です。
- 食べてはいけないもの、飲んではいけないものはありますか?
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絶対に食べてはいけないもの、飲んではいけないものはありません。飲酒・コーヒー(カフェイン)は適度であれば問題ありませんが、過度な摂取には注意しましょう。高血圧の場合は食塩、腎機能が低下している際は蛋白質の摂りすぎに注意が必要です。とくに外食が多い方はご注意ください。水は一日2.5~4Lと多めに飲むことが提案されています。
- 水分は、どんなものがよいですか?
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水分補給のための飲み物に決まりはありませんが、ジュースや炭酸飲料などは糖分が多く含まれるため、大量に飲むことによって肥満やメタボリックシンドロームなどを招く原因の一つとなります。基本的には水やお茶での水分補給が望ましいでしょう。
- アルコールは飲んでも構いませんか?
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健康が維持できる程度の、節度のある飲酒は問題ありません。しかし、過度の飲酒は脱水のリスクが高まるため控えましょう。アルコールを飲む場合には、十分な量の水分量をアルコールとは別に摂取することが大切です。
- カリウムがよくないと聞きますが、いつから制限した方がよいですか?
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カリウム制限は腎機能障害が進んでいる患者さんで考慮されますが、血清カリウム値によっては必要ない場合もあります。
必要な摂取量は病状に応じて異なるため、あまり慎重になりすぎず、心配であれば主治医に確認するようにしましょう。
- 血尿が出たのですが、すぐに病院に行った方がよいでしょうか?
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血尿が出たときは、2~3日間、水を多く飲むように心がけ、安静にして様子をみましょう。ほとんどは徐々に薄くなり消失します。薄くならず、数日間続く場合は受診しましょう。
- 痛みがあるのですが、すぐに病院に行った方がよいでしょうか?
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腹部膨満や痛みを感じるときは、できるだけ楽な姿勢をとって様子をみましょう。時間の経過とともに治まることがほとんどです。様子をみて軽減しなければ、受診しましょう。ただし、発熱を伴う場合は感染症が疑われるので、すぐに受診する必要があります。
- 痛みがあるときに、薬局で鎮痛薬を買って飲んでもよいでしょうか?
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痛みがあるときは市販の鎮痛薬を頓服で服用してもよいですが、その場合は次の受診のときに主治医に服用した薬について伝えましょう。
- 腎臓に良いといわれるサプリメントをすすめられたのですが、飲んだ方がいいですか?
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健康づくりの一環として、サプリメントを適切に利用することに問題はありません。しかし、中には腎のう胞を増大させてしまう作用を持つ物質が添加されている場合があり、ADPKD患者さんが摂取する際には注意が必要です。自己判断では使わず、摂取する前に医師・薬剤師に相談するようにしましょう。
- 鍼治療を受けていますが、問題ないでしょうか?
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一般的に鍼治療は正しく適用されれば臓器への傷害はないとされています。しかし、ADPKD患者さんの腎臓(あるいは肝臓)は通常よりも増大していることから、万が一の事故を予防するという意味で、事前に鍼灸師の先生に相談しておくとよいでしょう。
遺伝について
- 子どもには必ず遺伝するのでしょうか?
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子どもに遺伝する確率は50%です。これは生まれるときに決まり、兄弟の数で決まるものではありません。子どもが2人の場合、①2人とも遺伝しない、②1人に遺伝する、③2人に遺伝する可能性があります。
- 子どもには早めに検査を受けさせた方がよいでしょうか?
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ADPKDでは発症前の予防法や小児に対する治療法は確立しておらず、積極的には勧められていません。また、診断されることで就職や保険の加入などで不利益を受けたり、精神的な苦痛が生じる可能性もあります。健康診断で異常を指摘されたり、症状がなければ、検査を受けるかどうかまずは主治医に相談しましょう。もし、脳動脈瘤のある家系で、血圧が高いなどADPKDが疑われる症状がある場合には、早めに主治医に相談することが望まれます。
- ADPKDについて家族に話した方がよいでしょうか?
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ADPKD患者さんの子どもがADPKDになる確率は50%です。成人されている場合は、ADPKDの可能性を伝えることで早期発見・早期治療につながります。
家族に病気のことを伝える際にはまずは自分の状態をきちんと理解した上で、正しい情報を伝えることが大切です。主治医や遺伝カウンセラーなどの専門家に相談し、支援してもらうとよいでしょう。自分からは話しづらい場合は、専門家から話してもらうのも一つの方法です。
- ADPKDについて家族に話すタイミングは?
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明確な基準はありません。焦る必要はなく、あなたの心の準備が整ったときに考えるようにしましょう。
ただし、話をする際には相手との関係性に配慮が必要です。親や配偶者であれば、話し合うことでADPKDと上手につきあうためのヒントが得られるかもしれません。一方で、未成年の子どもは年齢や育った環境、伝える状況などによって受け入れ方や反応は異なります。一人一人の性格を理解した上で、慎重に考えた方がよいでしょう。患者会などに参加し、ほかの患者さんの体験を参考にしてみるのもよいかもしれません。あるいは、もっと専門的な相談をしたい場合には、医師や遺伝カウンセラーに支援してもらうこともできるので、主治医に相談してみましょう。
治療について
- ADPKDに対する治療にはどのようなものがあるのでしょうか?
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現在までにADPKDを根治する治療はなく、進行を抑制して透析導入を先延ばしにする治療が行われます。
腎機能の悪化を防ぐには血圧を適正に保つことが重要です。そのため、高血圧を合併するADPKDに対しては血圧管理や降圧療法が行われます。また、腎のう胞は、体外へ水分が排泄されるのを抑える抗利尿ホルモン(バソプレシン)が分泌されているときに大きくなります。このホルモンの分泌を抑えるため、日常の中で水を多め(1日に2.5~4L程度)に摂ることが提案されています。その他、血圧管理や体重管理のために食事管理なども行われます。現在ではバソプレシンの機能を抑えてADPKDの進行を抑制するための薬物療法があります。
難病医療費助成制度について
- 難病とはなんですか?
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難病とは、法律(難病の患者に対する医療等に関する法律;難病法)により発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立しておらず、患者数が少ない、長期の療養を必要とする病気として定義されており、ADPKDは難病の一つです。平成27(2015)年から、難病患者さんへの医療費助成制度が変わり、助成の対象となる病気が306に増えました。ADPKDが含まれる多発性のう胞腎は、指定難病67で、平成27年1月から助成対象となりました。
- 難病医療費助成制度とはどんな制度ですか?
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難病法により医療費を助成する制度です。助成の対象となるのは、306の指定難病と診断された患者さんです。自己負担割合は3割から2割になり、所得に応じて毎月の自己負担限度額が決まり、それを超える負担はありません。
- 難病医療費助成制度の申請方法は?
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医療費助成を受けるためには、保健所などの窓口に申請する必要があります。書類を受け取ったら、難病指定医(都道府県により指定された、難病を診療する医師)を受診し、診断書を書いてもらいます。支給認定申請書、診断書、住民票など必要書類を提出すると、2~3ヵ月後に受給者証が交付されます。
その他
- ADPKDはどこで治療すればよいですか?
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まずはかかりつけ医を受診しましょう。ADPKDはガイドラインが作成されているので、医師はガイドラインに従って腎臓やのう胞を調べ、同時に高血圧、脳動脈瘤など全身の合併症の検査を進めていきます。その際、必要に応じて専門医を紹介されることもあるでしょう。かかりつけ医がいない場合は、総合病院の腎臓内科を受診しましょう。
- ADPKDの専門医の見つけ方は?
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専門医は腎臓内科医です。かかりつけ医に紹介してもらうとよいでしょう。