ナ行
尿路結石
尿路結石(にょうろけっせき)とは、腎臓から尿道までの尿路に「石」ができる病気です。結石ができることで、急激な仙痛や持続的な疼痛、血尿といった症状が起こります。
多発性のう胞腎の場合、一般よりも尿路結石ができやすい傾向が見られ、男性の約21%、女性の約13%に尿路結石が認められています。
診断はCTで行います。水分摂取、薬物療法、体外衝撃波砕石術(さいせきじゅつ)(ESWL)などの治療を行います。
妊娠
血圧、腎機能、肝機能が正常であるならば、多くは健康な人と同様の経過をたどります。
以下が注意が必要な場合です。
- のう胞により肝臓・腎臓が大きく腫れあがり腹部に十分なスペースが確保できない。
- 腎機能障害
- 妊娠高血圧症候群をすでに合併している場合
心当たりがある場合は医師に相談しましょう。
脳動脈瘤
脳の動脈の一部分が、コブ状に膨らんでいる状態が「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」です。多くは血管の枝分かれした部分が、血流に押される形で膨らんで形成されます。
この脳動脈瘤が破裂すると、「くも膜下(まくか)出血」を起こします。
ADPKDでは、脳出血やくも膜下出血、脳梗塞(のうこうそく)などを併発する頻度が一般より高いです。脳動脈瘤は、一般では1%の保有率ですがADPKDでは、脳動脈瘤の家族歴がある場合で約16%、家族歴がない場合でも約6%と高頻度で保有しています。さらに脳動脈瘤破裂の頻度は、ADPKDでは、一般に比べて約5倍と言われています。ADPKDと診断されたら3~5年間隔で検査することが望ましいです。
脳動脈瘤が見つかった場合の処置としては、手術で脳動脈瘤の根元をクリップで止める「クリッピング術」と血管内手術で脳動脈瘤をコイルで埋める「コイル塞栓術」があります。これらにより、破裂を予防します。
のう胞感染
ADPKD患者の30~50%がのう胞感染を経験します。一般に高熱や腹痛、血尿などの症状を示します。
治療としては、おもに抗菌薬で治療を行います。治りにくい場合は、穿刺(せんし)排液(ドレナージ)を行うこともあります。
原因の多くは、膀胱炎を起こした細菌が尿管を逆行し、腎臓ののう胞まで達する「尿路感染」によるものと考えられています。細菌が入らないように清潔を心がけることが重要です。
のう胞出血
のう胞の中にある細い血管が、何らかの原因で破れてのう胞内に出血した状態です。このとき疼痛や血尿を伴いますが、中でも疼痛はもっとも多い症状で、多発性のう胞腎の場合には約60%以上の所見が認められます。
疼痛や血尿がつづく場合は、のう胞感染との鑑別や他の原因が複合しているかを調べるためにCTやMRI検査を行うこともあります。
ただし、のう胞出血の多くは自然治癒か、あるいはベッドで数日間の安静を保つことで改善します。